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ハサミ知識

ハサミの形状

ハサミを分解して平ら板の上に置くと刃中が浮きます。

ソリを見ると言います。

ネジ付近を指で押すと隙間がなくなります。

これが良いソリの状態ですが、少し隙間ができるハサミがあります。

中にはこれより酷い物もあります。

これを修正しないとこの部分が切れないという事が起こります。

修正の方法は基本的にハンマーで叩いて少しずつ直します。

修正できないハサミもあります。

ステライト系の物、硬い鋼材の物、中国製の安い物や某メーカーの物は折れやすいので

普通はハンマー等では叩くことはできません。

当店では特殊な方法である程度ハンマー調節ができます。

あとは裏刃である程度 調節します。

上記の図のような悪い状態のハサミは

結構 多いです。

(研ぎに出されるハサミの半分以上がこんな状態です)

修正にはひどい物は数時間かかる物もあります。

また、ネジだけで調節もできます。

キツメに閉める事で改善します。

しかし、そのままだと開閉が重くなってしまい

手に負担がかかる為、

当店ではそれをオリジナルの方法で細工して重みを解消させます。

原因は、販売時から悪かった物や研磨によって刃が変形してしまった物。

未熟な研ぎにより刃に熱を与えすぎたものは刃がもろくなります。

結果、変形や刃先が切れない、力がなくなったなどの現象が現れます。

これを、直すのにはちょっとした技が必要です。

ほとんどのハサミはこれが原因で切れない事があります。

刃先がこのように浮いていれば、ハサミの動刃と静刃が密着しないので切れない。

刃中がこのような状態なら、切れずに髪の毛に負けてパクります。

(ハサミが毛に負けて切れずに、ペロっとハサミの中で折れる状態)

刃付けはこういったハサミの特徴を理解して

(ソリを見て調整して)

技術様の、満足のいく刃を作ります。

この他、ヒネリや鋼材によって刃付けも変えます。

一番 大切な事は 技術様の使う用途と、ご希望を重視します。

ハンマー調節のメリットとデメリット

メリット:

・ハンマーで叩いて調節できる物はその場では直る。

・直る場合は、ハサミが快適に動く。

・良く切れるようになる

デメリット:

・ハンマーで叩けないハサミがある。

・鋼は一定期間を置いて元の形状にもどる性質がある。(スプリングバック現象)

・どんなハサミでも折れる可能性はある。

・確実に直るかはわからない。

・万が一、ハサミが折れた場合 お互いが傷付く。

・時間がかかる。

当店でのハンマー調節の対応:

ハンマーで叩いてきちんと直るものは、

昔のハサミで全鋼・着鋼のハサミで折れづらく簡単に曲げる事ができました。

現在の鋼材は良い物を使っている反面そういった事に弱いです。

ハサミを製造している段階でほとんどが決まってしまいます。

当店でも、安全性が高いハサミに対してはハンマーを用途によって変えて叩いて調節を行います。

調整はハサミが折れない程度で

できるところまで調整しています。

ハンマー調節後、1日寝かせて、

鋼が安定するまで待ってから研ぎに入ります。

酷い物はこれを2~3回繰り返します。

不安定な内にすぐに研いでも

鋼が戻ってソリが悪くなっている状態で研いでも

永切れして良く切れるハサミは出来ず

技術様にご迷惑をかけるからです。

あとは、その他で補う調節を徹底的にします。

ハサミを折ってしまっては、技術様を悲しませるだけです。

最近の多くの研ぎ師はこれに悩みを抱えていますので、

切れないまま適当に研いで返すという事もする方がいるようです。

しかし、それでは技術様は満足いきません。

当店は最善の事をして、技術様とお話してきちんと向き合いどうするかを決めていきます。

そして、満足のいく形をとらせていただいております。​

ハンマー調節の種類:

鋼はスプリングバック現象がある為、

毎回の調整が必要になることもあります。

この他、通常のハンマー調節ではなく

真鍮ハンマー、銅のハンマ、なましハンマー、特殊ハンマー

クサビ(キズ)のハンマー(ヒズチ、ハズチ)調節の仕方があります。

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​ハサミにキズをつけ現状で悪い部分に圧力かけて

ハサミの形状に対する圧力を全体的に変えます。

そうする事でハサミを適正な位置へともっていきます。

(実際には上の図とは違う方向へ圧力がかかっている所があります。)

当店はこちらの調整方法です。

この場合のメリットとデメリットは

メリット:

・スプリングバック現象が起こりづらいので長期的に維持がたもてる

・通常のハンマー調節より折れるリスクは下がる

・現状より切れるハサミになる

デメリット:

・傷が残る

・折れる可能性は依然としてある

・完全に直るかはやってみないとわからない

(ダメな場合は裏スキをやり直すか、ハサミを短くするなど・・・)

・時間がかかる

通常のハンマー調節に比べてクサビキズのおかげで

鋼にかかる圧力の力が移動し

矯正力は多きですが、

見た目はハサミの峰側の表と裏に複数のキズがつきます。

ハサミが見た目より切れる方が良いという方にはおススメです。

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